列のループ処理でセルからセルへ値を代入

パイさん

「ループ処理をつかって、列番号をカウントアップしながらセルからセルへ値を代入してみましょう。

　

　Excel VBA/マクロのループ処理をつかえば、
　一つの順次処理で多数列のセルの値を読みとり別のセルにその値を書きこむことができます。

　変数『列番号』を、開始列から終了列になるまで１ずつカウントアップさせながら、

　セルの値を読みとり別のセルにその値を書きこむ順次処理をくり返し実行する

　For文は、次のようになります。

　今回も、多数のセルの値を読みとることになるので、『ループ処理で多数行×多数列のセルに書きこむ』

　のときにつくったマクロ『行番号と列番号をカウントアップするループ処理2』をつかって、

　あらかじめ10行×10列のセルに値を書きこんでおきましょう。」

1. 1行・1～3列のセルから10列右のセルへ

パイさん

「行を1行目に固定して、列を1列目から3列目まで1列ずつカウントアップしていきながら、

　そのつどセルの値を読みとり、その10列右のセルに書きこんでみましょう。

　このとき行番号を変数『読取行』と変数『書込行』、列番号を変数『読取列』と変数『書込列』としましょう。」

ソンくん

「今度の問題は、前回とよく似ていますね。」

パイさん

「そうです。行と列を置きかえただけです。」

ソンくん

「行と列を置きかえただけということは、行番号をカウントアップするためのFor文を、

　列番号をカウントアップするためのFor文に書きかえればいいということですね。」

パイさん

「その通りです。」

ソンくん

「『読取行』『書込行』『読取列』『書込列』を整数型として変数宣言

　まず、行を1行目に固定ということなので、

　読取行 = 1

　書込行 = 読取行

　次に、列を1列目から3列目まで1列ずつカウントアップしていきながら、そのつどセルの値を読みとり、

　その10列右のセルに書きこむということを考えてみます。

　『読取列』を開始列『1』から終了列『3』まで１ずつカウントアップしていくループコード

　For 読取列 = 1 To 3

　Next

　『書込列』を『読取列』より10列増やす処理コード

　書込列 = 読取列 + 10

　書込セルに読取セルの値を代入する処理コード

　Cells(書込行, 書込列).Value = Cells(読取行, 読取列).Value

　そして、これら二つの処理コードを、『読取列』をカウントアップしていくループコードに組み合わせます。」

パイさん

「１～３列に係るセルからセルへ値をうつす順次処理が、For文をつかうことで一つの順次処理にまとまりました。

　それでは、そのマクロを実行してみましょう。」

ソンくん

「1行目・1～3列目のセルの値が読みとられて、その10列右の1行目・11～13列目のセルに書きこまれました。」

2. 2行・4～6列のセルから10列右のセルへ

パイさん

「行を2行目に固定して、列を4列目から6列目まで1列ずつカウントアップしていきながら、

　そのつどセルの値を読みとり、その10列右のセルに書きこんでみましょう。」

ソンくん

「今度の問題も、列のループ処理を利用できそうですね。」

パイさん

「その通りです。実は一つ前につくったマクロを３か所書きかえるだけでいいのです。」

ソンくん

「一つ前の問題は、『行を1行目に固定して、列を1列目から3列目まで1列ずつカウントアップ』するのに対して、

　今度の問題は、『行を2行目に固定して、列を4列目から6列目まで1列ずつカウントアップ』するということで、

　固定行と、カウントアップの開始列と終了列が変わるだけですね。

　さきほどのマクロの、読取行 = 1を読取行 = 2に、For 読取列 = 1 To 3をFor 読取列 = 4 To 6に

　書きかえます。」

パイさん

「４～６列に係るセルからセルへ値をうつす順次処理が、For文をつかうことで一つの順次処理にまとまりました。

　それでは、そのマクロを実行してみましょう。」

ソンくん

「2行目・4～6列目のセルの値が読みとられて、その10列右の2行目・14～16列目のセルに書きこまれました。」

3. 3行・7～10列のセルから10列右のセルへ

パイさん

「行を3行目に固定して、列を7列目から10列目まで1列ずつカウントアップしていきながら、

　そのつどセルの値を読みとり、その10列右のセルに書きこんでみましょう。」

ソンくん

「今度の問題も、一つ前につくったマクロを３か所だけ書きかえます。

　一つ前の問題は、『行を2行目に固定して、列を4列目から6列目まで1列ずつカウントアップ』するのに対して、

　今度の問題は、『行を3行目に固定して、列を7列目から10列目まで1列ずつカウントアップ』するということで、

　固定行と、カウントアップの開始列と終了列が変わるだけですね。

　さきほどのマクロの、読取行 = 2を読取行 = 3に、For 読取列 = 4 To 6をFor 読取列 = 7 To 10に

　書きかえます。」

パイさん

「７～１０列に係るセルからセルへ値をうつす順次処理が、For文をつかうことで一つの順次処理に

　まとまりました。それでは、そのマクロを実行してみましょう。」

ソンくん

「3行目・7～10列目のセルの値が読みとられて、その10列右の3行目・17～20列目のセルに書きこまれました。」

パイさん

「このように、For文をつかってループ処理を行えば、多数列のセルから多数列のセルへ一瞬で値を代入する

　ことができます。

　試しに、For文の開始列・終了列と行番号の定数に設定する値を適当な数字に書きかえて、マクロを実行して、

　多数列のセルから多数列のセルへ値を代入できることを確かめてみましょう。

　(1) 4行目、1～10列目のセルの値を読みとり、その10列右のセルに

　(2) 7行目、2～8列目のセルの値を読みとり、その20列右のセルに

　(3) 10行目、3～7列目のセルの値を読みとり、その30列右のセルに値を書きこんでみましょう。

演習(1)：マクロ『列のループ処理でセルからセルへ値をうつす』

4行目、1～10列目のセルの値を読みとり、その10列右のセルに値を書きこむ

Sub 列のループ処理でセルからセルへ値をうつす()

　Dim 読取行 As Integer

　Dim 書込行 As Integer

　Dim 読取列 As Integer

　Dim 書込列 As Integer

　読取行 = 4

　書込行 = 読取行

　For 読取列 = 1 To 10

　　　書込列 = 読取列 + 10

　　　Cells(書込行, 書込列).Value = Cells(読取行, 読取列).Value

　Next

End Sub

　

演習(2)：マクロ『列のループ処理でセルからセルへ値をうつす』

7行目、2～8列目のセルの値を読みとり、その20列右のセルに値を書きこむ

Sub 列のループ処理でセルからセルへ値をうつす()

　Dim 読取行 As Integer

　Dim 書込行 As Integer

　Dim 読取列 As Integer

　Dim 書込列 As Integer

　読取行 = 7

　書込行 = 読取行

　For 読取列 = 2 To 8

　　　書込列 = 読取列 + 20

　　　Cells(書込行, 書込列).Value = Cells(読取行, 読取列).Value

　Next

End Sub

　

演習(3)：マクロ『列のループ処理でセルからセルへ値をうつす』

10行目、3～7列目のセルの値を読みとり、その30列右のセルに値を書きこむ

Sub 列のループ処理でセルからセルへ値をうつす()

　Dim 読取行 As Integer

　Dim 書込行 As Integer

　Dim 読取列 As Integer

　Dim 書込列 As Integer

　読取行 = 10

　書込行 = 読取行

　For 読取列 = 3 To 7

　　　書込列 = 読取列 + 30

　　　Cells(書込行, 書込列).Value = Cells(読取行, 読取列).Value

　Next

End Sub

　

　今回は、列のFor文をつかえば、多数列のセルから多数列のセルへ値を代入できるという話でした。

　では、行数と列数の両方とも増えたときは、どうすればよいのでしょうか。

　これについては、次回『行×列のループ処理でセルからセルへ値を代入』で紹介します。」